湯煙しっぽり吉野撮影旅行

撮影と執筆:管理人重松よしこ

TOP 公演情報 KCT? 裏ダメ ごま対談 LINKS BBS mini-BBS i-mode

9月3日(一日目)

京都駅 12:00PM

集合時間前に全員が集合。それぞれ多忙な為、一様に疲れた顔をしている。これから温泉地に向かおうというときに、およそ似つかわしくない表情である。カメラの前で笑顔をつくるも、不自然この上ない。
事前に製作した絵コンテから考えて、タイトな撮影になることは想像に難くない。ブルーにもなる。目の前には山のような仕事、その彼方に湯煙が揺れる。畜生。
切符1200円を買ってホームに入るが、ごまのはえはお茶を買いに行き、ゆであずきはお昼ご飯の心配ばかりしている。バラバラである。先行き不安。
近鉄電車を3本乗り継ぎ、2時間かけて奈良県は吉野へ。2学期が始まったばかりなので、授業が午前中で終わるのだろう、車内は女子高生でいっぱいである。特に、ローカル色濃ゆい吉野線に入ったあたりから、純朴度がピークに達する(主に髪の黒さで計測)。
このピュアっぷりにひっかからない堀川ではない。溶ける。もうドロドロである。「俺の青春を返せ」とか「そのままの君で、変わらないで」とか「思い出地獄うぅ〜」とか、こじゃれた名言を吐いてくださる。五月蝿いことこの上ないので、ごく適当にあしらっておく。
ゆであずきの談によると、当劇団のエロ魔人・板橋薔薇之介は、「女子高生」に対して、彼のような選り好みは一切ないという。汚れていようが純朴であろうが慢研所属であろうが、100%ロック・オンだ。さてどちらがより変態なのか。
私としては、公演の料金で高校生以下割引を設定したときに、「高校生以下って表記はオッケーだったっけ」などと、AVに造詣が深すぎて訳のわからない点でうろたえていた板橋も捨て難い。しかし、恋愛の壮大な海の浅瀬で、25年間転がり続ける堀川は、変態中の変態。甲乙付け難し。

吉野駅 14:30PM
桜の季節には、この駅が観光客で満杯になるのだろう。しかし今はシーズンオフ。乗降客は見たところ、我々身元不明の撮影クルーのみ。
駅前は閑散としていたが、一件のみ発見した食堂は営業中のようだ。お昼ご飯の心配ばかりしていたゆであずきの空腹を、一刻も早く満たしてあげなければ。
壁一面には、名物笹の葉寿司や親子丼などのメニューが所狭しと並んでいるが、店の主人は言い放った。
「うどんとそばくらいしかでけへん」
少々の間。
「あ、あとカレーライスしかでけへん」
選択の余地は産道より狭い。
結局、ごまのはえはコーヒー、残り3名は山菜うどんを頼み、すすりこむ。可もなく不可もなく。
食後ゆであずきが、本日の宿にTEL。迎えの車を頼む。
車を待つ間、劇団ショウダウンにて客演中の梅澤諭史の話題に。大家さんから「バスタオル(もちろん年期の入った逸品。臭う)を戸の廊下側に掛けておくな」との厳命を受け、堀川が新品のバスタオルを贈答したにもかかわらず、ああっと言う間に年期を入れてしまい、相変わらず戸の廊下側に掛けているらしい。
堀川とともに、同じアパートに住み、長年梅澤の世話を焼いている劇団ショウダウン主宰・ナツメクニオ氏が、「2階(梅澤居住)と1階の廊下は臭いが違う」と証言していたという。私も度々このアパートには潜入するのだが、今後2階には一切上がらないようにしようと誓う。
皆で梅澤の先行きを心配しているうちに車が到着。壮絶な山道を上りに上って、今回の撮影の舞台となる吉野山の旅館へ。車中でごまのはえが「俺らってカップルに見られるんやろうか」と、自分達の素性を不安がる。確かに我々は外から見ると何者なのかさっぱりわからない。学生カップル2組とするのが無難な気もするが、そのカップリングに苦しむ上に、見た目の年齢が微妙である(特にごまのはえ。君だ)。

撮影開始 15:30PM
温泉旅館に到着した。まず最初にすることは何?
まずは一杯。まずは一風呂。まずは散策。
我々の場合はもちろん、まず仕事。その次も仕事。寝るまで仕事。起きたら仕事。
部屋に通されて、仲居さんが部屋を出るなり段取りの確認。今回の予告編のBGMとなる、吉田拓郎「旅の宿」を聞きながら。
ごまのはえが思い出したように「仲居さんにチップを渡さなくて良かったのだろうか」とおろおろしはじめる。「大丈夫、我々はそんな身分じゃないから」とたしなめる。
宿帳に記入したゆであずきに、他の滞在客はいかほどか確認すると「多分、53歳女性っていうのと、23歳女性っていうのがあったから、私ら含めて3組やな」。男性陣「23歳女性」で色めきたつ。
ともあれ、他の客が入らないうちに、浴場での撮影を終えることが最優先なので、確認に走る。結果、女湯に一人、男湯に一人が入浴中。ここでひとつの仮説が浮かび上がった。
「これは・・・これは(正真正銘の)カップルちゃうか?」
「23歳女性!あの客や!」「カップルで温泉でしっぽりや!」「畜生!」一同逆上。
小道具を準備しながらカップルがしっぽりし終えるのを待って、まず男湯の撮影。私は衣装の着物を着付けてみることに。衣装の朝倉詩が見たら火を吹いて怒りそうな、見よう見まねの着付けではあるが、撮影なので甘くみる。
途中、カメラマンの堀川が泣き入って帰って来る。
「蚊がいっぱいおる!濡れてもええから長ズボンと靴下履いて行く!」
さすが山奥。さすが都会っ子(都会に住んでいる訳ではなく、人間の種別として)。
続いて女湯。カメラマンは私。何故か蚊の襲撃はひとつも受けなかったが、肩もあらわに湯船につかっていたゆであずきはかなり辛かったようだ。実際、ゆであずきの周囲を徘徊する蚊が一匹、画面に映り込んでいた。
一番の難所と思われた浴場の撮影が終了、一休み。なんとか入浴。時間的に余裕がある訳ではないが、温泉旅館で温泉に入れないのはマヌケだ。

温泉地らしい風景 18:00
夕食は別の客室に用意された。「この間に布団が敷かれる訳やな・・・まくらが、青・赤・青・赤って並んでたらどうしよう」と興奮するごまのはえ。
冷え冷えビールで乾杯。山椒ご飯とごま豆腐、鮎の塩焼きが旨い。
飲みすぎては仕事にならないといいつつ、ごまのはえが2本目のビールの栓を抜く。先日の、ゆであずき出演の舞台の感想を語り始める。
ふと見ると堀川は浴衣を全開放にして眠っていた。
食後、ゆであずきが飲み物を買いに外に出たいと言うので、散歩がてら外出。
ここでも堀川は浴衣全開放。ちょっと歩くたびに全開放。帯を締め直す。歩く。全開放。繰り返し。反して、恰幅のよいあんこ体形のごまのはえは、浴衣の着こなしも安定感にあふれている。「帯の位置がもっと下やねん!」と、堀川の帯を締め直していた。
帰館後、撮影準備。撮影はまだまだ終わらない。ガックリすることに、未だ2シーンしか撮り終えていないのだ。

撮影佳境 20:00PM
ここからが正念場である。布団の敷かれた生々しい部屋に小道具をセッティングして、撮影再開。
詳しくは11月公演の際に放映される『2月公演予告編』をお楽しみに、というほかないのだが、ごまのはえが暴れ、ゆであずきは恐怖に泣いた。苦情がこないかとビクビクするほどの騒々しさであった。
指輪に見立てた「○○○」を指にはめるシーンがあるのだが、その異様な感触に、ゆであずきがどうしても笑ってしまう。試しに堀川がごまのはえにはめてもらっていたが、思いもよらない昇天声を出す。なんだその声。
本日分の予定が終了したところで、ビデオカメラを部屋のTVに接続して確認。ごまのはえは、自分の放つ殺気に「ヤ○ザやん、俺」とおののき、ゆであずきは、画像の出来どうこうより「自分のぱんつが見えていないか」だけを執拗にチェック。一応、彼女は2月公演のプロデューサーなのだが、立場よりぱんつのほうが重要のようだ。
しかし、絵コンテの段階では、もっとほのぼのしたシーンだったのだが、できあがった映像はどうみてもドメスティック・バイオレンスのドキュメンタリー。OKを出したゆであずき、本当にいいのか?
明朝は6時起床。いよいよフロント正面の玄関で、旅館に喧嘩を売るようなシーンを撮らなければ。
果たして我々は全行程を撮り終えることができるのか?
旅館にバレずに無傷で帰れるのか?
そして今ごろ、あの23歳カップルは・・・
様々な妄想にさいなまれつつ、24:00就寝。

TOP 公演情報 KCT? 裏ダメ ごま対談 LINKS BBS mini-BBS i-mode
knitcap@hotmail.com