週刊裏ダメ出し

劇団代表ごまのはえが劇団員に厳しいダメ出し!
第1号〜第12号。

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第1号

最近役者がダメ出しを聞いてくれない。
演出家にとってダメ出しは命だ。朝礼前夜の校長のように、あんなこと言おうか、こんなこと言おうか、ドキドキしながら考える。いいフレーズ(主に意外性のある逆説)を考え付くと早く言いたくてウズウズしてくる。その命のダメ出しを聞いてくれないのである。俺の落胆は大きい。
前回公演で俺は「ドン亀日記」という名作を書いた。その中に登場する演出家「先輩」はまさに俺の分身である。あの痛み、あの冷え冷えするような恐怖、あれは常日頃俺が稽古場で感じていることだ。ここらへんが俺が私小説作家として島崎藤村の系譜に位置付けられる由縁だ。
演劇とは人間生活の再現である。いい役者になるにはまず立派な社会人にならなくてはならない。そのことを知り抜いている俺のダメ出しは鋭い。役者の人格にダメを出す、時には親が悪いと稽古場に親をつれてこさせ三者面談したこともある。ここらへんの決め付けの速さが、俺を石原慎太郎の系譜に位置付けられる由縁である。
あの頃はよかった。あの頃、旗上げ一年、二年はまだみんな俺のダメ出しを聞いてくれた。大木湖南の「よし、わかった、任せとけ」という顔はいかにも頼もしげだったし、松岡純子はまさに純粋そのもので俺のダメ出しを食い入るように聞いてくれた。
だが今はダメだ。誰も俺の話を聞いちゃいない。梅沢は屁をこくわ、西村は臭いわ、堀川はげろげろ女を追い掛け回すわ。女も女で下ネタに慣れたのか、俺のおもしろトーク(つまり下ネタ)を軽くあしらってやがる、もっと嫌がれ!もっと恥らえ!それが好きなんだ俺は!  
こんな稽古場いやだ。学級崩壊の教師の気分だ。役者共よ、俺はおまえらに言いたいことがいっぱいある。でも面と向かっていえない。お前らとは育てられ方が違うんだ。そこで今日からこの場で言わせてもらう。俺はそーゆー性格なんだ。ダメを出しまくるからな、泣くなよ。
さて今俺たちは次回の6月公演「実録S・M・A・P秘話」を稽古している。ふざけたタイトルだが骨太の芝居だ。この芝居は再々演である。前回、前々回と夏の盛りに上演した。今回は6月に上演だ。稽古期間はたっぷり4月と5月、少しは涼しい、涼しいと目が冴える、俺の目もますます冴える。チンタラ動く役者共を見るこの俺の突き刺すような視線、俺はお前にダメを出す、しょっぱなの餌食はお前だ!大木湖南!
プロフィール
大木湖南
年齢 24
出身 京都府長岡京市
かつて黒澤明は三船敏郎を評して「悪魔のような豪快さと天使のような繊細さを併せ持つ役者」と言った、俺はこの言葉を大木君に奉げよう。するとつまり自動的に俺は黒澤明という事になる、ただでは誉めない、俺の得意技だ。大木のことなど書きたくない、自分のことをいっぱい書きたいそんな気持ちを抑えて書いている、人格者だ。  
  大木湖南のダメなところは、いや言い方を改めよう、大木湖南がダメなのはその度量の狭さ故だ。
俺は憶えている。あいつがまだ前の彼女と付き合っていた頃、「浮気がしたい、浮気がしたい」とあまりにうるさいから「したいならしろ!」というと「いやでも・・・ややこしいのいややん」とほざきやがった。その上「次の日にはアラスカに引っ越すとか決まってる女の子と浮気したい」とぬかしやがった。情けない、だからダメなんだ、だからあんな訳の分からん別れ方になったんだ。
「あちらこちらに命がけ」この精神があまりにも欠損している、いっぺん松方弘樹の付き人でもやってみろ。やさしさには常に責任が伴う、責任取れないならあんまり優しくすべきじゃない。でも男っていうのはなるたけ他人に優しくして自分の責任取れる幅を徐々に広げていかなきゃいけないんじゃないか、それがお前はどうだ。優しさと責任のバランスがあまりにも適格すぎるんじゃないか、火遊びを怖がりすぎちゃいないか?もうちょっと、もうちょっとでいいから若気の過ちって奴をしてさ、年取ってから根津陣八とか佐藤浩一とか白竜みたいな危ない男になりたくないか、大木よお、気持ちは分かる、分かるけどさ、薔薇之介をちょっとだけ見習おう・・・話が深くなりすぎた。ココから先はとてもいえない。  
  とにかく大木湖南、お前の顔は怖いんだ、けれどお前のその内心の臆病さは何だ。実録S・M・A・P秘話でのお前の役どころははっきりいって悪だ、悪の大木湖南だ。俺はそれをお客さんに見てもらいたいと思っている。大木君よお、失恋の傷を癒してくれるのは、新しい恋しかないんじゃないか?

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第2号


ダーリンダーリンと俺が口ずさむと皆いやな顔をしやがる。俺はヤイコが好きだ。大好きなヤイコが雑誌の表紙になっていたのでみてみると誰かに似ている。そうあの女だ。芸名メグ・ジャイアンこと西めぐみだ。
「西めぐみ」、こう名前を書いただけで俺はもう疲れる。以前、西と大木湖南が二人で柔軟体操をしていた。西がお尻をつけて前屈すると西の背中とちょっと下着がみえた。大木はマジマジとそれをみて、「何やこれ、人工ヒフか?」と言った。西は「ちがいますよ、下着ですよ、もっとウハウハしてくださいよ。」と言った。俺は疲れた。いい天気だったのでよけいに疲れた。
男を疲れさせる女。他人の元気を吸い取って元気になる女。もしこいつが老人ホームとかのヘルパーになったら周りの老人はバタバタ死んでいくだろう。死体に囲まれてちあきなおみ「喝采」を唄う西、(この女はジョギングしながらでもこの歌をがなる)、ガイアナの人民寺院を想わせるこの風景。でも安心してほしい西めぐみは絶対にヘルパーにならないから。
 西はおそらく天才型の役者だ。そしてB型だ。つまりいいかげんな役者だ。なんでもパッパとこなすけど壁に突き当たるのも早い。かく言う、ごまのはえもこのタイプの役者だ。俺はこーゆータイプの役者の演技を「腹痛演技」と呼んでいる。つまり腹痛を他人に悟られまいと必死に演技する。その程度の上手さである故にスケールが小さい。そして演出家からこう言われる「器用貧乏」、泣きたくなる。ではどうすればいいのか、という話は専門的になり過ぎるので、人格的ダメだしを売りにする俺としては、その解決策を処世術風に言ってみる。それはつまり「バカになれ」この一言だろう。「バカになれ」・・・・なんて腐りきった言葉なんだろう。書いてて恥ずかしい。
演出を兼ねている俺はもうバカにはなれない。でも西、君には可能性がある。もしかしたら大女優になるかも、おじさんは本気でそう思っている。君は京産大の学生さんだったね。おじさんは昔京産大のことを共産大だと思って、共産党の大学と信じて疑わなかったんだよ。大丈夫、安心して歳をとりな。

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第3号


奇跡の人
モンゴルの遊牧民の人たちは一生お風呂に入らないと聞いたが、尼崎の人もそうなのだろうか。
というのも尼崎出身の梅沢諭史はよく自分の顔の臭さで目を覚ますらしいのだ。それはおかしいと周囲が言うと不思議そうな顔(車窓からマスコミを眺める晩年の昭和天皇のような顔)をして、そーいうことないかと逆に聞き返してくる。あるわけないだろ。酒を飲んでもそうだ、つまみにバームクーヘンを要求するわ、盛り上がって下ネタになって、かわいらしくみんなで初めて見たエロビデオについて語っていると彼が、「俺の初めてのエロビデオ、強烈やったなー、パツ金の裏でよ、女が裸の男の体にクギを打つねん」などと発言し、周囲を黙らせる。おととしの冬公演では幕裏で大きなオナラをし、そのことをアンケートにまで書かれた。
奇跡の人、梅沢諭史はこれからどんな奇跡をやらかしてくれるのか、目撃したい人はお気軽に稽古場までおいで下さい。

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第4号


夏だ、プールだ、ゾッとした思い出がある。あれは俺が小学3年か4年の時、担任の教師がプールでひと泳ぎして俺のすぐ前のプールサイドにぬっと顔を出した、普段はフサフサとまではいかないまでも、岩城晃一ぐらいの髪の量はあったと思うのだが、ぺチャリと頭に髪がはりついてまさに別人となったその教師の顔に子供ながらびっくりした。だから4、5年前、ケビン・コスナーが『ウォーター・ワールド』とかいう映画に出演した時もファンでもないのに心が痛んだ。「え?この人こんなに淋しかった?」って思われることぐらい嫌なもんはないだろう、もちろん思う方も思われる方も共に嫌な気分だ、「なかったことにしてあげる」そんな下等な優しさがその場の空気になる。あー嫌だ。今思い出したが昔鴨川の河川敷でゴールデンレトリバーとじゃれる白人さんの短パンからこうがんが見えていた、あの時も俺は心の中で「なかったことにしてあげる」とつぶやいたもんだ。優しさなんてこんなもんだ。
さて久々の裏ダメ出し、今は稽古がないから堂々と休んでいたらヒマになってきた、休日なのにバイト先に遊びに来るフリーターのようでちょっと嫌なのだが、本当にヒマだから筆をとることにした。今回のターゲットは打ち上げで一分近く陰部を出し続けたアナタ!板橋薔薇之介だ!!
あれは2ヶ月ほど前、前回公演『実録S・M・A・P秘話』の衣装合わせの時だった、全員チノパンにTシャツを着て、あとは各自の役作りに合わせてメイクをしそれをチェックすることになった、薔薇之介演じる「キムラタクヤ」のイメージカラーは「ブルー」、求められているのはズバリ「爽やか」だった。できるハズだった、薔薇は「爽やか」ができるハズだった、なのに、いやだのに目の前に現れた薔薇は・・・「カッパ」だった。多くは語るまい、ピンポイントで語ろう、その頃の薔薇氏の髪はまぁ10センチから15センチぐらいでサイドは刈り上げ、スポーツ刈りのちょっとのびたような感じだった、それを「爽やか」にしようと衣装の朝倉詩およびいつもメイクを手伝ってくれるヤングこと林真梨子はとりあえず髪をおろし、風を受けたような無造作ヘアを目指した、が!!髪がおりなかった、いや、おりるにはおりたが、とどかない、はえ際が後退して髪を前におろしても髪先がまゆ毛にもとどかなかった、いじりつつ詩も真梨子もびびったらしい、けれども何も言えず黙々とメイクを続けた、この時の2人の気持ちはおそらくこうだ。
「カッパになるぞ、カッパになるぞ、カッパになるぞ・・・・・・ほらなった。」
そして俺の前にやってきた、俺も困った、その場にいるみんな困った。
「何か違うよね」
そう言ったのは薔薇氏本人だった。
「いや、・・・そうですね・・・」
俺もわけのわからん答え方をしてしまった、詩と真梨子は黙っていた、沈黙がジリジリとその場を黒く染めていった、こーゆー時にこそ発揮されるべき「優しさ」を現代の教育はフォローしていない、俺と詩と真梨子は沈黙に逃げた、薔薇氏のみ自分の前髪をつまみ、
「何だろうなー、何が違うんだろーな」
と言い続けていた。
ごめん。
板さん、あの時はごめん。
それからこんな文章かいてすみません。

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第5号


「ゲバダバ、ドべドべ、ゲバババビェ」
とあなたの後ろで聞こえたら、それは鼻炎のブタじゃない、後ろで堀川高志が笑っているんだ。
笑い方が汚ないというのはどうなのだろう、食べ方が汚ないのとどっちがマイナスなのだろう、もしM子様とかK子様とかがゲバゲバドベドベ笑うとしたら、宮内庁はやっぱり困るんだろうな、きっと、嫁入りできなかったかもしれないな、きっと。高志と一緒にいてなにかおもしろいことがあって俺も高志も笑うんだけど、あいつの笑い方の汚さにびっくりしてしまって、俺はすぐに笑いがやんでしまう。トイレで小便しようとしたら同時に入って来て横に並んだおっさんがパンツをひざまで下げたのと同じぐらいびっくりする、つまり笑うポイントは一緒なのだがその後が違う、第2コーナーまでは並んで走っていたが第3コーナーから違う、しつこく例えをくり返すが、ガキの頃、遊び疲れてノドが乾いて友達の家で冷えた麦茶をもらったら、「砂糖は入れないのか?」って聞かれた時と同じくらい違いを感じる、しつこい文章ですまん。
堀川高志の笑い方をここにくわしく書くと、まず下アゴがでる、つられて舌が前にでる、その舌にはツバがたっぷりついている、その状態で息を吸いつつ笑うからツバがからんで口の中のいろんな所で「ズベズベ」音がする、よく落語家がソバをすするフリをするでしょう、あれと同じ、その音とノドで鳴る音、さらには笑いつつ周囲のモノをベチベチたたくから、音をひろうとこうなる、
「ゲェゲェゲェ(ノドで鳴る音)ドベドベ(ツバが鳴る音)ゲェゲェゲェ、ドベドベ、ベチンベチン(自分のヒザをたたく音)」
音だけ聞いてりゃブタの交尾だ、汚ない、本当に汚ない、やめてほしい、しかもロリコンだし、アニメおたくだし、ワイン好きだし、中・高と生徒会長やってたし、そのせいでつけられたアダ名は「カイチョー」だったし、その頃の写真みせてもらうと何故か服はジャケットばっかりだし、舞台では「バッター犬」だし、本当いいことなしだ。
でも高志はいい奴だ、俺ん家に来る時はいつも近所のコンビニでわらびモチを買って来てくれる、ありがとう。だからもしこの文章読んでいて、ニットキャップシアターのファンで、堀川高志のファンで、しかも椎名へきるに似ているって女の子がいたらすぐに電話してくれ。まぁいないわな。

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第6号


昔テレビで何でもアイスクリームにしてしまうオヤジを見た。ヨモギ、シソここまではまぁいいとして貝やらサンマまでオヤジはアイスにしていた、サンマをまず冷凍にしフードプロフェッサーでミンチにしアイスに練り込む、確かこんな手順だったと思うが、それを見て、「何でわざわざ」と思わざるをえなかった。・・・という一文をのっけに掲げといて今日は松岡純子について書く、松岡純子、愛称「純ちゃん」、舞台上での彼女はかわいくて元気いっぱいだが、私生活もまぁ同じようなものである、それじゃおもしろくないので今日は松岡の元気いっぱいじゃない部分、陰気ドロドロの部分を書く、え?あんなかわいらしい子が?とみなさん思うだろう、あるんだよ当然あの子にもそーゆー部分が、たまに稽古場の隅でボンヤリ座ってる姿は冗談ぬきで37、8にみえる、浅野ゆう子にみえる、誰も声をかけられない、けっこう恐い。
こんな噂がある。松岡が飲んだあとのストローはすべてガジガジに噛まれているらしいと。この噂は真実だ。彼女はとにかく噛む、ボロボロにしてしまう。俺は恐い、いったいこのサンショみたいにピリリとかわいい女の子の内側にはいかなる大地がひろがっているのか、外側からはうかがいしれない何かがこの娘っ子の内にあるんだ、それがストローをボロボロになるまで噛むという行為に走らせているんだ、きっと。
さらにこんなエピソードがある。前回『実録S・M・A・P秘話』の時、京都公演が終わって来週から大阪という時に俺は松岡にこう言った「もっと楽しそうにお芝居をやってくれ」と、松岡は本当によく頑張るのだが、頑張りすぎて殺気がでて正直わらえないのだ、だからこんなダメ出しをした。それから数日して大阪公演の本番直前、舞台ソデの闇の方から松岡純子の呪文のような声がする、
「楽しむ、楽しむ、たのしむ、たのしむ、タノシム、タノシム・・・・・・」
俺はゾッとした、本当に恐かった、慌てて松岡に言った、
「松岡、リラックスしろ!」
するとやや間があいてから再びソデより
「リラックス、リラックス、リラックス・・・・・・」
と呪文のような声がする。これでは本末転倒だ、健康を気にするあまり早死するようなもんじゃないか、そこで俺は思った、この文ののっけに掲げたアイスクリーム屋のオヤジのことを、あのオヤジが何でもアイスにしてしまうように、松岡純子も何でもとにかく頑張ってしまうのではないだろうか、そうだ彼女は頑張り屋さんだから、リラックス、リラックスと呪文を唱えるのも商売だからしょうがないかもしれない。・・・
俺は言いたい、松岡!お前は役者という商売を目指してるんだから、頑張り屋さんはもう卒業しなさい!!

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第7号


稽古場が嗅うなと思ったら床が緑の液体でドロドロになっている、そのドロドロの流れをたどっていくと「奴」が初期のエルビス・コステロのような内股ポーズでブルブルふるえていた。
そう、新入団員、ゾンビの正男君である。
ゾンビというと死者が環えると思っている人も多いだろうが、厳密にはそうではなく、一度毒物で仮死状態になった人を何らかの手段を使って復活せしめて、ゾンビをつくるらしい。どうも変な文脈だな、主語を「ゾンビ」にしたのがいけなかったのか、まぁいい書き直しはしない。とにかくまぁゾンビと呼ばれる人は実際にいるんです。人間の漬物みたいに思っていただければいい、いい加減ないい方だけど、だいたいわかるでしょ、俺もだいたいで書いてるからそこら辺察して下さい。
さて、ゾンビの正男が入団してからというもの稽古場はとてもクサイ。もともとウチの劇団には西村の体臭、梅澤の口臭、ごまのはえの足の臭いという三大ブランドがブレンドされて稽古場はエラいことになっていたのにそこにゾンビである。例えて言うなら、Y口組とA津小鉄とS吉会が勢力争いしてるとこに台湾マフィアが乗りこんできたようなもんさ、地元住民の迷惑ここに極まれりだ。ごめんなさい。ある女優などフィルムケースの両端にゴムをつけ耳にかけてそれを鼻の下にぶら下げて稽古場にやってきた、フィルムケースの内には自分のウンコが入っているらしい、本人曰く「こっちの方がまだマシ」らしい、さもありなんと囲りがうなづいた、嘘だと思うなら一度稽古場に来てごらん、本当にクサイから。せめて仔鹿のバンビのゾンビならクサくてもまだ可愛らしいが、正男は某人民共和国の某総書記長のご長男のゾンビである、かわいくともなんともない、いかにもフテブテしい、そんな正男はゾンビであることをプラスに利用して女の子と接触をはかる、ある女優がノドをからすと、「人間のノドってこうなってるんだよ」っと自分のノドを切り裂いて口腔から食道にいたる部位を生でみせた。
そんな彼はどうやらゆであずきに好意を寄せているらしい、彼女の前で彼はしきりに直腸を出し入れしたり、腹をさいてズルズル小腸をぬき出し「今年はちょっと長めのネックレスが流行るらしい」と言いつつそれを首からかけ、裂いてその内壁にある柔突起のヒダヒダをいやがるゆであずきの顔の近くまで寄せて、「ホリャホリャ」とのばしていく時の正男の顔をみていればわかる。
俺はちょっとうらやましかった。

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第8号


中村こず恵はその昔芸名を立山しずくといった。「しずく!」と呼んだらきっと怒る、なにやら彼女はこの名前を恥ずかしがっているようなそんな気配がする。そこで私は「立山しずく」という芸名の何が恥ずかしいのか、2・3回この名前を口づさんで考えてみた。
立山しずく
立山しずく
立山しずく・・・・・・
これは行数かせぎではない、私は今本当に口にしている。


上の空白も行数かせぎではない、私は驚いている、驚きの間がこの空白である。「立山しずく」・・・・・・何て恥ずかしい芸名なんだろう!!
例えばケンケンのTシャツ、それもやたらバカでかくてパンツまでスッポリかくれてパジャマがわりにもなりそうなやつ、「立山しずく」にはそんなニュアンスがある。
例えば太平かつみの嫁さん尾崎小百合、これもニュアンス的にそっくりだろう。例えばパンジー、これも「立山しずく」っぽい、・・・・・・おそらくこの文章は中村こず恵を怒らせるだろう、ウチの劇団で一番怒らせたら恐そうな女、それが彼女だ。だからこの辺で今回はやめときたいのだが、彼女の前の芸名が立山しずくだったってのが俺には絶妙におもしろい、しかも昔の芸名ってぞんざいに扱うとたたるんだ、ちゃんと線香あげてくようしないと必ずたたる。現にかつて「クサヤ18番」、「ケツやぶり」、「梅澤アナル」、「カサンドラZ」など幾多の芸名をポイポイ捨てた梅澤諭史は、いまクサくて痔で監獄のようなところでくらしている、これなどは芸名がたたるいい例だ。だから中村こず恵!君は総括すべきだ、「立山しずく」のどこが嫌になったのか、どこに飽きたのか、どこら辺に無理を感じたのか、一度じっくり聞いてみたい、いや直接話してくれなくてもいい、こーゆー話はまた聞きの方がおもしろいから。
さて今回の裏ダメ出し、書き終えて俺は余計なことを言ってしまった気がしてならない、言わなきゃよかった。でもこず恵嬢が日本酒ガバガバ飲んでる姿みてずっと思ってたんだ、「どこが立山しずくなんだ」って。

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第9号


「ズルい女」といえばシャ乱Qだが、「コスい女」といえば朝倉詩だ。彼女はコスい、コスいってどーゆう意味かよくわからん人は朝倉詩を見ればいい、アメリカにおけるジョン・ウェイン、コスいにおける朝倉詩。今回は対比が多いぜ、調子が悪い証拠だ。
彼女は百万石の加賀から来た、そのせいかとても米好きだ。こんなことがあった。夕方、俺と中村こず恵と重松よしこと朝倉詩でミーティングがあった、場所はフォルクス、俺はレモンティー、重ちゃんもソフトドリンク、こず恵嬢はセットメニュー、朝倉は単品のカラアゲにごはん、しばらくしてカラアゲが来た、そしてごはんが来た、けれども朝倉はそれが自分のたのんだごはんだとは認めなかった、理由を聞くと「だって量が少ないから」と答えやがった、ここが俺にはわからない、何故量が少ないと自分のじゃないと判断するのか、そう突っこむと、こず恵さんもセットでごはんをたのんでいる、このごはんはきっとそっちのごはんだと言いはる、3人はうなった、そして言った、フォルクスのごはんの量はこんなもんだと、すると朝倉は、でもカマド屋だったら倍はあると言った、再び3人はうなった、このあたりから私の頭の片隅から、コスい、コスい、という声が秋の鈴虫がなくように聞こえてきた、ここはフォルクスだからと私達は言った、すると朝倉は、いいです、待ちますから、と言った。何を?こず恵さんがたのんだもうひとつのごはんが来るのを・・・
それからこず恵ちゃんがたのんだごはんが来るまでの間、どれだけ嫌な空気だったか、読んでる君らにゃわかるまい、出されたカラアゲに手をつけず首を突きだして座っている朝倉の顔が魚のようにみえてくる、嫌だ、話し合いどころじゃなくなった、せめて向いのクリーニング屋が火事にでもなってくれたら話題をそっちにふれるのに、なかなかもえそうにない、わずか5分にもならないが完ペキな沈黙だった、男友達と『ボディーガード』を観に行った時以来の完ペキな無駄な時間だった、こーゆー時間をかきあつめていつか3年間分ぐらいの時間が溜まったら私はボランティアにいきます。ありがとう詩ちゃん。
それからもうひとつのごはんが来てその皿をのぞきこみ
「うん、一緒ですね」
と妙にさっぱり言って彼女はやっとこさカラアゲにハシをつけた。ありきたりの結論だけどその時俺はこう思った。
「いろんな人がいるなぁ」って。

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第10号


今週は私の青春時代のエピソードについて書きたい。というのも毎週役者の悪口を書いていて書いた役者からも、また読んでいる人からも、じゃあお前はどうなんだという疑問が沸いているような気がするからだ、かと言って自分の反省点をここで総括するのも観せ物として酷いだろうから、ここに私の青春時代を象徴するエピソードを提示し、それを皆さんに観て頂き、人間ごまのはえがいかなる人物か判断の助けにしてもらおうと思う。だから今から書く私の思い出話は、百パーセント実話です。
では、はじめます。

私の初体験は16才の夏だった。
その日の海は波も静かで見張り台のヤグラの上で私はじっと水平線をみていた、「来い、来い」と心で念じふと目をはずすとその瞬間、静かな波の重なりのはてに、水しぶきがあがるのを目の端にとめた。
―白長須(しろながす)だ!―
血が沸き立つより早く私は早鐘を打ち鳴らした。
浜に男衆が集まって来る。
「幸吉、どっちじゃ!」、大網船頭の又七兄ニイが自慢の羽矢をしごき声を張り上げる、羽矢とはクジラ漁をする男にとっては命そのもので、長柄からのびる矢縄が十八ひろほどもある。
「亀島の沖合、十八里ほどじゃ」
又七兄二イが遠眼がねをかまえる、その後ろに私は桃江が走り寄るのを見た、桃江は又七兄ニイの妹、私の幼ななじみでもある。
「よっしゃあ!!」
男衆が声をあげ各各の船に乗り込む。
「俺も乗せてくれ!」
私は又七兄ニイの背中に声をかける、兄ニイがふり返る、その屈強の肉体は大人の体で、負けじと私は胸をはった。じっと私の目の奥をのぞき、
「よし!乗れ!」
私が乗り込んだのは又七兄ニイと同じ船、縄網船という船である、クジラ漁はチームワークが肝心である、勢子船、持双船、双海船、そして縄網船、それぞれ屈強の男衆が命を的に仕事をし巨大なクジラに立ち向かう、私は漁に参加したのはこの日が初めてである。
白長須は群れから離れ方向感覚をまったく失ったようで、じょじょに入り江に迷いこんでいる、勢子船がクジラに船をよせる、近くで見ると二十・三十メートルはあるだろうか、その巨体が動くたび大波が船をゆらす。紅白ののぼりを吹き流しながら私は船のヘリにしがみつくのがやっとだった。見上げれば又七兄ニイが大波のしぶきを身に受けて悠然とクジラを睨みつけている。私は焦った、自分が大人でないことに、自分の肉体がこの荒波に木っ端のように吹きちらかされそうになってしまうことに、
―早く、早く、大人になりたい、―
船がクジラに寄りきったのを見て、私は又七兄ニイの手に握られた刃刺を奪い取った。
「バカ!!」
その声を聞かず私は船からクジラへ、刃剣一本に身をまかせ、クジラのなめらかな肌へそれを突き立てるため・・・
―大人になりたい―
その時はそればかり考えている十六才のごまのはえだった。

―次週へ続く―

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第11号


―先週から続き―
私は焚木を眺めている。浜風がホホにあたる、まだはれているようだ、又七兄ニィの手の温度がまだホホに残っている。私は浜でひろった流木をおり火にくべた。
何を憎めばいい、クジラ漁は失敗に終った、私の責任だ、私が刃剣をもって海に飛び込み皆の連帯を崩してしまった、クジラは最後の力をふり絞って大きく巨体をうねらせ、その荒波で舟は吹き飛び、男達は気がつくと浜に打ち上げられていた。
雨が降りはじめた。ここは昔灯台として使われていたところ、海を見たくなかった、私は眠ることにした。
どれくらいの時間がたったろう、パチパチと火がはねる音のなかに人の気配を感じて私は目をさました。
「ダメ!」
火をはさんで桃江がいた。
「向うをむいてケロ!」
しかも桃江はピンクのワンピースを脱いだところだった。私は慌てて背を向け、海と向い合った。
「お前、何しに来たんじゃ」
「・・・散歩しとったんじゃ」
恋する女の嘘はバレバレである。おそらく桃江は今日の漁のことを又七兄ニィから聞き、心配で私を探していたんだろう、そして雨に濡れてこの灯台にかけ込み、私が眠っているのを見て服を脱ぎタキ火でかわかしていたところであろう。
「絶対こっち向いちゃダメケロよ」
「わかっとる」
夜の海はまっ暗だった、波のうねりが重油のように重く感じられる。今ごろ桃江は下着姿だろう、いやこの雨の激しさからいって下着もかわかしているかもしれない、コツと音がした、考えるにあれは脱いだワンピースを手ごろな流木にひっかけ火にあてるためコンクリの床に立てた時の音だろう。腋の下と手のヒラとお尻のアナの囲りにじっとり汗をかいた。
「桃江!」
私は立ち上がり桃江を見た。
「ケロ!」
びっくりした桃江は傍らにかけたワンピースで慌てて体を隠した。
「さ、させてくれ」
私は恥じない。男女の会話の本質をついたまでだ。
「ケロ・・・・・・」
桃江は私の目を見る、いや目の奥を見る。
そして信じられないことがおこった。私のさせてくれパワーがそうさせたのか、桃江はワンピースを払いのけ両手をひろげてこう叫んだ。
「とんでこ!その火とびこえてこ!!」
私はとんだ、そしてむしゃぶりついた。今思うとそれは基地について大好きなカレーにとびつく黄レンジャーみたいだったかもしれない。
―さらに次週へ―

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第12号


―ペテェ、ペテェ、ペテェ―
愛の音がする。
愛とはつまり摩擦だろう。愛とはつまりどれだけ相手の深い場所へ入っていけるか、こう書くと男性的すぎるだろうか。あの時、荒れた灯台のタキ火の傍らで桃江を抱いた時、私は16才のサルだったから、もちろんそんな理屈は考えられなかった。あれを10分ぐらいしたらあとでこれを15分くらいやってくれるかなぁとか、こっち向きに体勢を変えたら俺が何してほしがってるかわかってくれるかなぁとか下世話なことは一切考えなかった、二人は求め合ったのだ、俗から聖へ、登る階段を二人は見たのだ。
私のイアン・ソープのような背中に桃江はツメを立てる、四ツンバイにして羊毛を刈っていくような愛撫、ある時は私はピアニスト、桃江はピアノ、しばらくすると立場は逆転、桃江は高い音を出したがる、二人の息が合いはじめる、最後のほうになると私の鼻息が桃江の顔面に吹いて前髪を揺らした。そして終り。
私はげっそりして、桃江は水をふくんだスポンジのようにふっくらして、別にさわりたくもないけどコリコリさわってたたかれた。そして桃江は眠った。私は眠れずに海を見た。
―さぁ来い!俺は大人だ!!―

以上が私の初体験である。まさか三週に渡って載せることになるとは自分でも思わなかった。やっぱり私は自分が一番好きだ。
自分の事を書くわけだからなるべく冷静に客観的な描写に努めたつもりだが、いかがでしょうか?言うまでもないが私は嘘が嫌いだ、私のことを嫌いな人の次ぐらいに嘘が嫌いだ、だからこの文章には嘘はありません。
初体験が早過ぎるのではと思う人もいるだろう、たしかに16才でやっちゃうのはちょっと早いかなとも思うが、あの年頃で桃江というラテンな女と経験したことで、素直に他人を愛せる太陽のような今の私の性格ができあがったのだと思う、私の囲りにも20代になってもウジウジ童貞を守っている奴がいるが、あれは他人を信じることができない不幸な人だと思う。合掌。
桃江とはその後も幸せ続きだった、子供もできた、桃江にそのことを告げられた時、私は嬉しくて浜を走りまわったが、ふと自分一人だけがこんなに幸せになってもいいのかと不安になり、そのまま走って逃げた。
おわり

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